新規事業開発〜ベンチャーには何が必要か〜

新規事業開発は、既存企業による新分野への多角化と。新規企業によるベンチャーの2種類が考えられる。
ここではベンチャーについて考える、ベンチャーが新規事業開発を行うには、小さなリソースでも十分なリターン
が得られる事と、大企業に自らの市場を奪われない事が必要である。
ここでは前者を技術のバレッジ効果、後者を参入障壁の面から記述する。


ベンチャービジネスを辞書で引くと

「新技術や高度な知識を軸に,大企業では実施しにくい創造的・革新的な経営を展開する小企業。」


となっている。ゆえにベンチャー企業の新規事業開発は、大企業の多角化とは明確に違う。
大企業の多角化は豊富なリソースを元に、明確なリターンを期待して展開する。ベンチャーは最低限の
リソースと最大の機動力で展開する。


大企業の多角化は広い分野に展開されているのに比べ、ベンチャーの多くはIT分野やバイオ分野など
高度な技術分野または未開の分野で展開される場合が多いのはなぜだろうか。
ここに多角化ベンチャーの新事業戦略の違いが有るのではないだろうか。新しい技術を開発し
技術的問題を解けば、同じ問題を抱える全ての人サービスを提供できる。


技術分野では、技術革新にはバレッジがかかるわけである。未開拓な分野を開拓も同じである
未開拓ということは、そこには問題があるわけである、それが市場として認知されていない事であれ
技術的制限があるにせよ、解決すべき問題があるわけである。
問題を解く事は技術的な話である、これを解けば勿論技術的バレッジが得られるわけである。


「参入障壁」とは、他の企業がその分野に参入しようとしたとき、どの程度困難であるかの度合いである。
新規事業開発を行う上でこれが高すぎるのであれば参入できない。また参入した後は、別企業にたいしての
参入障壁を高くできないならば参入するべきでは無い。


既存の大企業が参入障壁を構築する場合は、「メーカーになる・ブランドを作り出す・規模の経済性が大きくする
・流通網を押さえる・特許を取得する」などがある。
多くのベンチャー企業は大企業ほどリソースがないゆえに、大企業の多くの戦術はベンチャーには取ることができない。
ではベンチャーも大企業も特許の前では平等だろうか、今日特許は完全な参入障壁ではない、リターンのある事業のため
なら、多く大企業は特許で訴えられる事を恐れない、大企業にとって裁判は日常的な事だからだ。
Webブラウザをめぐる争いがあったが、大企業は裁判を長期化させその間に市場を席巻してしまった。
ベンチャー企業がこれに正面から向かい合う事は莫大な費用の支払いと苦労話を得ることにしかならない。


今まさに新事業開発を行うベンチャー企業があるならば、そこで取りえる参入障壁は、つねに困難な問題を解決できる
事を証明する事だと考えられる。私達がこれたけ苦労するのだから、象のように巨大で遅鈍な大企業はもっと
苦労するだろうこのはっきりと言えないならばベンチャーで新規事業開発を行うのは難しい。


バレッジ効果を狙うには、誰よりも早く問題を解く必要がある。また解くべき問題は常に難しい物でなければ
大企業に市場を奪われてしまう。ベンチャ−企業は全てのリソースを問題解決(技術革新)にかける。
ゆえにベンチャー「千,三つ」といわれるほど成功率が低い。もし熊なら1発叩かれてもビクともしないだろうし、
カニならばその硬い甲羅で守られるだろうが、ベンチャーは蚊といえる、ただ一点刺すことに注力している、
叩かれれば終わりである。しかし、技術分野で成功すれば大企業もベンチャーも変わらないバレッジ効果を得られる、
ベンチャーによる新規事業は小さなリソースで大きなリターンを得ることができる、まさにハイリスクハイリターンの
典型とであり、それだけに大きな魅力を持っているといえる。


ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

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